次の関数
のべき級数による近似を求め、その成立範囲も述べよ。
まず商の対数を分ける。 商をそのまま展開するのではなく を使う。 この一手で問題全体が易しくなる。どちらの部分も標準的なマクローリン展開をもつからである。
標準的な 2 つの級数を書き下す。 に対して であり、 を に置き換えると となる。
引き算して偶数次が消える様子を見る。 項ごとに見ると、 の寄与は と で引き算により打ち消し合い、 の寄与は と で強め合う。一般に奇数次だけが生き残り、それぞれ 2 倍になる。 奇数次だけになるのは、この関数の対称性が要求するとおりである。 を に置き換えると引数が逆数になり対数の符号が反転するので、この関数は奇関数なのである。
実用的な打ち切りを書き留める。 級数を途中で切ると、実用的な近似 が得られる。最初のものは における 1 次(接線)近似である。
成立範囲を述べて試す。 もとの 2 つの級数はどちらも を要し、商そのものが正になるのもその範囲だけなので、この展開は で成り立つ。 での数値確認:厳密値は 、一方 であり、小数第 5 位まで一致する。わずかな差は次の項 で説明できる。
この形が対数の計算に好まれる理由を押さえる。 任意の正の数 は とすれば の形に書け、 が から遠くてもその は小さい。この級数は奇数次の項しかもたず、素朴な の級数の 2 倍の速さで収束するので、この恒等式は手計算で対数を高い精度で求める古典的な方法になっている。
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