すべての実数 、 について次が成り立つことを証明せよ。
証明の向きを選ぶ。 恒等式の証明とは一方の辺をもう一方に変形することであり、方程式を解くときのように等号をまたいで項を移すことは許されない。複雑なのは右辺なので、そちらを展開して に到達することを目指す。この向きなら展開だけで済み、因数分解の着想は要らない。
2 項式の 3 乗を展開する。 2 項定理を使うと、
となる。真ん中の 2 つの係数がどちらも 3 であることこそ、3 を因子に持つ補正項でそれらを消せる理由である。
補正項を展開する。
これは 3 乗の展開で生じた混合項の組と、項ごとにぴたり同じである。
引き算して混合項が消えるのを見る。
真ん中の 2 項はちょうど打ち消し合い、これで証明が完了する。右辺は に等しいので、この恒等式はすべての で成り立つ。
この恒等式を覚えておく価値。 これは を基本対称式 と だけで表す、すなわち という式である。2 つの解そのものではなく和と積だけが与えられている問題で を求めるときの定石の道筋である。
数値での抜き取り検査。 とすると、左辺は 、右辺は である。式のうえでの予測どおり等しい。
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